肝臓疾患別の治療法

肝臓病の治療

肝臓疾患別に治療法をみていきます。

◆アルコール性肝障害の治療
アルコール性肝障害の治療の軸は禁酒です。お酒をやめることが一番の治療になるのですが、アルコールは依存性が高く、慢性アルコール中毒となっている場合はお酒を断つことが非常に困難になります。そにの場合は精神科に紹介をしてもらいアルコール依存に対する治療を行うことになります。
禁酒そのものが治療の中心で、アルコール依存治療薬として抗酒薬を服用するなどして断酒を継続させます。抗酒薬には飲酒をすると気分が悪くなる薬が従来からありますが、お酒を飲みたいという欲求そのものを抑える薬も登場し、治療の幅が広がっています。断酒の継続のために断酒会などの自助会に参加することや精神療法なども合わせて行われます。
また、アルコール摂取によって欠乏したビタミンB1の補充や肝臓の状態を守るための肝庇護療法としてウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤を使用します。

◆脂肪肝の治療
脂肪肝の治療は、アルコールの摂りすぎの場合(アルコール性脂肪肝の場合)は禁酒、非アルコール性の脂肪肝の場合は食事療法と運動療法が中心となります。脂肪肝における肝臓に沈着している脂肪とは中性脂肪です。高脂肪食だけでなく炭水化物の摂りすぎでも血中中性脂肪は増え、肝臓に沈着することになります。規則的なバランスのよい食事を摂ることで過剰な中性脂肪の上昇を抑え、有酸素運動を中心とした運動を生活習慣の中に取り入れることで中性脂肪の消費を促します。脂肪肝をきたしている人はおおよそメタボリックシンドロームに罹患しているか予備軍の人です。メタボリックシンドローム対策も意識して治療を行うことになります。

◆薬剤性肝障害の治療
薬剤性肝障害と診断された場合の治療は、肝障害の原因となった薬剤の使用を中止することが第一の治療になります。そのうえで、肝細胞に障害が出ているタイプではグリチルリチン製剤であったり、胆汁っ滞がひどい場合はウルソデオキシコール酸を用いて肝臓の保護を図ります。アセトアミノフェンによる肝障害であった場合はN-アセチルシステインという薬を使ってアセトアミノフェンの作用を無毒化させます。

◆自己免疫性肝炎の治療
自己免疫性肝炎と診断された場合は副腎皮質ステロイドによる治療となります。その他、アザチオプリンやウルソデオキシコール酸といった薬もケースによって用います。

◆肝炎の治療
肝炎の治療は急性肝炎の場合はまず対症療法で安静が第一で、しっかり栄養をとります(糖質を中心とした低カロリー食がよいとされます)。状況によってはビタミン剤などの点滴を行って管理します。
原因ウイルスがB型肝炎ウイルスの場合は核酸アナログ製剤のエンテカビル(バラクルード(R))、ラミブジン(ゼフィックス(R))、アデホビル(ヘプセラ(R))といった核酸アナログ製剤やインターフェロン製剤などのウイルスの増殖を抑制させる薬で治療します。
C型肝炎の場合はインターフェロンを中心とした治療を行います。インターフェロンが登場するまではC型肝炎は治らない疾患とされていましたが、1992年以降インターフェロンの使用が可能となって治癒率が30%程度まで上昇しました。急性C型肝炎であればインターフェロン単独でもかなり高い著効率を示しますが、慢性化したものや効きの悪いタイプ(1型など)のウイルスの場合では治癒率は低いままでした。
その後ペグインターフェロンとリバビリン併用療法が登場し、治癒率も50%を超えるようになりました。それでもすべてのC型肝炎患者が治癒するというわけではなく、インターフェロン治療による副作用や費用の面、治癒率も100%ではないという不安との戦いを強いられてきました。
2011年になり、新しい抗ウイルス薬であるテラプレビル(テラビック(R))が従来のペグインターフェロン+リバビリン併用療法に合わせて投与できるようになり、この3剤併用療法ではこれまで難治性とされてきた1型でも70%を超える治癒率が見込まれるようになりました。

◆肝硬変の治療
肝硬変になった場合は、代償期と非代償期で治療方針が異なります。代償期(肝予備能が比較的保たれている状態)では、肝硬変となった原疾患に対する治療法に準じます。C型肝炎・B型肝炎に対する治療と同様です。非代償期の場合は、合併症の治療を行います。腹水を起こしている場合は、安静を保ち、塩分制限や利尿薬などを投与して腹水改善を図ります。肝性脳症をきたしている場合も安静を第一に、低たんぱく食やアミノ酸製剤など肝性脳症の改善をはかります。腹膜炎を起こしている場合は抗菌薬を投与、食道・胃静脈瘤を起こしている場合は内視鏡治療を行います。
最終的には肝移植を行うケースも多く、生体肝移植が行われます。

◆肝癌の治療
肝癌の治療は肝臓の障害の程度によって方針が異なります。肝障害程度が軽度か中等度の場合は外科的な肝切除や経皮的局所療法、肝動脈化学塞栓療法などが選択されます。腫瘍の数や大きさなどによって治療の適応が決まります。
肝臓の障害度が重度の場合は肝臓移植か緩和ケアというルートをたどることになります。