肝硬変の解説

肝硬変とは

【どんな疾患か】
慢性の肝炎や脂肪肝(アルコール性脂肪肝など)が悪化すると肝臓は線維化をおこしたり肝細胞が破壊されていくなどしていよいよその機能を失っていきます。そのように肝臓が機能を失って萎縮した病態を肝硬変といい、肝臓の疾患の最終像とされています。

【危険因子】
慢性の進行性の肝疾患ですので、もともとC型慢性肝炎やB型慢性肝炎を患っている人やいわゆる酒飲みの人は肝臓の状態が悪化すると肝硬変に進行していきます。現在日本では肝硬変患者の80%はウイルス性肝炎から進行したものです。10%はアルコール性肝障害から進行した患者となっています。ウイルス性のうち、C型が65%程度と大半を占めており、残りがB型となっています。

【肝硬変の症状】

肝硬変には肝臓の予備能力が比較的保たれている代償期と肝予備能が失われている非代償期の二つに大きく分けることができます。

代償期では症状は無症状か症状が出てもわずかで、状態が悪化して非代償期となると黄疸、腹水、浮腫などの代表的な症状を呈するようになり、肝性脳症や門脈圧亢進症などの合併症も生じるようになります。

肝臓の状態がまだ比較的保たれているうちは全身倦怠感や食欲不振などの症状を自覚する程度ですが、進行していくと腹水による腹部膨満感やからだのむくみ、黄疸などが出てくるようになります。肝臓の機能が低下すると毛細血管が拡張するようになるので、首や顔、肩などに放射状にクモの様に見えるくも状血管腫と呼ばれる毛細血管がみえるようになります。他にも手のひらの毛細血管が拡張して赤くみえる手掌紅斑も生じるようになります。これらはエストロゲンというホルモンが分解されないため起こるとされます。このエストロゲンは女性ホルモンの一種で、このホルモンの影響で肝硬変の人は女性のような乳房になることもあります。

また、肝機能が低下すると、門脈と呼ばれる肝臓に流入していく静脈の圧力が高くなるため、腹壁の血管が怒張して浮き上がって見えたり(メドゥーサの頭などと呼ばれます)、おなかに水がたまる腹水、むくみ(浮腫)なども生じるようになります。

肝臓は体内の毒素を分解する働きがありますが、その働きが弱まると、体内毒素が十分分解されなくなるため、脳や神経系に障害が出てきます。これを肝性脳症とよび、意識障害や異常行動を起こすようになります。羽ばたき振戦という特徴的な手の震えが生じるのが特徴です。

【肝硬変の治療】
肝硬変の治療は代償期と非代償期で異なります。代償期では原因疾患に対する治療をメインに行います。C型肝炎であればインターフェロン治療を中心としたもの、B型肝炎であれば核酸アナログ製剤を用いての治療がメインとなります。その他の肝障害ではグリチルリチン製剤やウルソデオキシコール酸などを用いて肝機能を落とさないようにしていきます。他には食事に気をつけること(食事療法)が重要になります。

非代償期では現れる症状に対して治療を行っていく必要があります。おなかに水がたまっている(腹水)場合は安静を前提として塩分制限の食事を摂るようにし、利尿薬などの投薬で対処していきます。肝性脳症を発症している場合も安静と食事(低たんぱく食など)を前提として投薬治療を行います。食道静脈瘤などは内視鏡を用いて治療を行います。

いよいよ肝機能が失われる状態となってしまうと肝移植をする以外に方法はなくなります。